giftee Tech Blog

ギフティの開発を支えるメンバーの技術やデザイン、プロダクトマネジメントの情報を発信しています。

RubyKaigi 2026 参加レポート 〜 駆け出し Rubyist が感じた「距離」の話

eyecatch

はじめに

こんにちは、ギフティでエンジニアをしている satosho です!
普段は Rails アプリケーションの開発を担当しています。Ruby 歴は1年程度の駆け出しの Rubyist(Ruby エンジニア)です。

先日、北海道は函館で開催された RubyKaigi 2026 に参加してきました。

弊社ギフティは今回、プラチナスポンサーとして協賛しています。今年は17名のメンバーが現地参加しました。

RubyKaigi 2026 ギフティメンバー集合写真

集合写真

駆け出しの自分にとっては、それまで遠くに感じていた Ruby コミュニティが、ぐっと近くに感じられる3日間でした。普段業務でお世話になっている Ruby や gem を作っている人たちが同じ会場にいて、その人たちの話を直接聞ける。先輩たちが「作る側」の方々と自然に言葉を交わしている姿を間近に見ながら、自分もいつかこの距離を縮めていきたいと感じた、そんな体験のレポートです。

RubyKaigi という場

RubyKaigi は、世界中の Rubyist が集う国際カンファレンスです。Ruby コミッターの方々をはじめ、様々なバックグラウンドを持つ Rubyist たちが一堂に会する場で、 3日間にわたり Ruby に関する発表が行われます。

期間中は朝9時過ぎから夕方18時頃まで、1枠30分間の発表(セッション)が続きます。同時間帯に3つのレーンが走っていて、どれを聴くか毎回選ぶ必要がありました。3日間で行われたセッション数は60を超えています。
会場となった函館サーモン・まるなまアリーナには発表会場が3つ用意され、メインの大ホールは約1,400席です。キーノートセッションではその大ホールがほぼ満席でした。

会場となった函館サーモン・まるなまアリーナの写真

函館サーモン・まるなまアリーナの様子

発表内容は、Ruby そのものの進化や Ruby を支える OSS にまつわるテーマが中心です。今年の発表アーカイブは後日 RubyKaigi 2026 公式サイト で公開される予定なので、興味のある方は覗いてみてください。

キーノートで縮まった、時間軸の距離

RubyKaigi 2026 のセッションは、@tagomoris さんのキーノート「The Journey of Box Building」から始まります。Ruby 4.0 に取り込まれた新機能 Ruby::Box の開発者が、大ホールに立ちました。

発表はまず Ruby::Box の技術的な解説から始まります。Box という空間にコードの定義を閉じ込める Box.new という API の紹介や、VM レベルでの実装詳細が説明され、自分を含めて会場のあちこちでメモを取る手が動いていました。新機能に対して向けられた、技術的な関心が会場を満たしていました。

話が転換したのは、@tagomoris さんが2023年の RubyKaigi を振り返った場面です。「自分が Ruby ランタイムの開発に関わることはないだろう」と思っていたところに、@shioyama さんの 「Multiverse Ruby」の発表に出会い、「これがやりたかったんだ」と開発に乗り出した経緯が語られました。続く RubyKaigi 2024・2025 では Namespace (旧 Ruby::Box)をテーマに発表を重ね、3年がかりで Ruby::Box が Ruby 4.0 に取り込まれるまでの道のりが描かれました。

最も印象に残っているのは、スライドに RubyKaigi 2023 から始まる3年間のタイムラインが映し出されたシーンです。2023年のセッションの直後から Ruby::Box の PoC を作り始めて、1年後のセッション登壇、さらに2年後のセッション登壇とスライドは続きます。その最後のページには「RubyKaigi 2026 のオープニングキーノート」と書かれていて、ふと、今自分が聴いているこの発表自体が、この旅の最新の1ページなんだと気づきました。

普段何気なく使っている Ruby の機能の裏側に、こうして3年がかりで形にした個人の旅があったのか、と思いました。この時会場で沸き起こった拍手は、自分だけではなく会場全体が同じことを感じていたのだと伝わるものでした。

最後に @tagomoris さんは「みなさんにとっての Multiverse Ruby をぜひ探してみてほしい」と締めくくりました。1つの発表と出会いが3年間の開発を駆動したという話を聞いた直後だったので、この言葉はずしりと響きました。キーノート後にホールを出ながら、隣にいた弊社メンバーと「胸が熱くなった!」と興奮気味で話をしたのを覚えています。
最初は新機能の技術解説として始まったキーノートが、これから始まる RubyKaigi の旅の入口になっていました。

さて、この他にも会期中に様々なセッションが展開されました。弊社メンバーも参加レポートを投稿しています。よければこちらもご覧ください。

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ギフティの企業ブース

ギフティは今回も RubyKaigi の企業ブースを出展しました。

ギフティが展開する事業の多くは Ruby や Rails で構築されたシステムを土台としています。普段から Ruby を利用する企業として、1つの恩返しの形で、また Ruby コミュニティを応援したい・盛り上げたいという思いから数年前からスポンサーとして協賛しています。ブース出展の目的の1つは、コミュニティに対して、自社のサービスを通じて何かを返すことです。

今年は3ヶ月以上前から有志メンバーが集まって企画を練り、当日のノベルティ配布や来場者対応の流れまでを設計しました。

RubyKaigi 2026 ギフティ企業ブースの様子

ギフティの企業ブースの様子

五稜郭クイズ

今年のメイン企画は、北海道のコンビニチェーンで使えるeギフトのノベルティ配布でした。カードの裏面に QR コードが印刷されていて、読み取るとシルエットクイズ「五稜郭はどれ?」の画面が立ち上がります。
五稜郭・ギフティのロゴ・RubyKaigi 2026 のアイコン、これら3つの似通ったシルエットの中から1つを選んで回答すると、抽選で函館のご当地ドリンクやスイーツの引換券が当たる、という仕組みです。

今回のギフト体験は、ギフティが提供している法人向けサービスである、ギフトの抽選キャンペーンシステムと、eギフトのチケットを生成・販売する eGift System を使って構築されています。
抽選システムの方では RubyKaigi 用に問題と当選コンテンツをカスタマイズしていて、今回はクイズの正解不正解に関係なく、全員にどれか1つの引換券が当たるようになっています。また、引換券は実際のギフトチケットなので、そのままお店で利用することができます。

RubyKaigi 2026 ギフティ オリジナルギフトカード

ギフトカードのノベルティ

作り手と使い手の距離

期間中ブースに立っていて、印象に残ったのがギフティのサービスを使ってくださっている方々との出会いでした。1日目の午後、ある企業の方がブースに立ち寄ってくれて、「ギフティのサービスを使っていますよ」と話をしてくれました。弊社の個人向けサービスである giftee を使って友達や社内の方にギフトを送っているそうで、ギフトを送る具体的なシーンであったり、URL 形式でギフトチケットを利用できる利便性といったリアルな話を5分くらい交わしました。

もう1つ印象的だったのが、五稜郭クイズをみなさん楽しんでいらっしゃったことです。「まだ五稜郭には訪れていなかったので行きたくなった」「クイズの景品でもらった引換券もあるのでご当地コンビニに行ってみたくなった」といった感想もいただきました。みなさん函館に来た理由は RubyKaigi のためですが、せっかくの開催地そのものを楽しんでもらうきっかけになっていたなら、我々としても嬉しい限りです。

ブースに立つ中で、自分が普段書いているコードや自社が提供するプロダクトと、それを使ってくれている人たちとの距離が、すっと近くなった感覚がありました。スポンサーとしてブースを出すというのは、単に会社をアピールする機会というだけではなく、こうして作り手と使い手の距離を縮める意味もあるのだなと、現場に立つことで感じました。

ドリンクアップで縮まった、Rubyist 同士の距離

RubyKaigi の期間中、夜になるとスポンサー各社が主催する「ドリンクアップ」と呼ばれる交流イベントが函館市内で開催されます。飲み物を片手に、技術の話や日常の話を交わすミートアップ形式のイベントです。

ギフティも2日目の夜にドリンクアップを開催しました。会場は五稜郭近くの居酒屋さんで、社外から50名以上の方が参加してくださり、弊社メンバーと合わせて70名ほどの規模になりました。
RubyKaigi に集まった Rubyist の方々が、カンファレンスの時間とは違う形で、所属の枠を超えてカジュアルに話せる場があるといいよね、というのが開催の動機です。スポンサーとして場を提供することで、コミュニティ全体の繋がりに少しでも貢献できれば、という想いがあります。

自分の場合は同じテーブルになった他企業の Ruby エンジニアの方々とずっと話をしていました。自分は RubyKaigi 初参加だったのですが、他の方々は数回ほどの参加経験があるようでした。最初のうちはそれぞれが印象に残ったセッションを振り返っていました。感想に共感することもあれば、お互いの業務経験によっては微妙に異なった受け取り方をしていることがわかったりするなど、セッションの話題で盛り上がりました。

もう1つ、思いがけない再会もありました。ギフティが開催しているイベント "TSUDOI" にご参加いただいたことがある方が、たまたまドリンクアップにも来てくださっていて、さらに同じ席だったのです。もっと偶然なことに、翌日に自分が参加予定のドリンクアップはその方が主催側のドリンクアップで、まさかの偶然に2人で驚きました。自社イベントの場と RubyKaigi のドリンクアップが繋がった瞬間でした。コミュニティへの関わり方は色々な形があるのだと、そんな当たり前のことが妙に新鮮に感じられました。

ギフティでのドリンクアップに限らず、毎晩の時間が次の日への期待を増やしてくれる、そんな構造になっているのも RubyKaigi の魅力の1つです。ある夜の出会いが翌日の別のイベントに繋がり、そこでまた新しい会話が生まれる。自分にとって今回の RubyKaigi は、そうやって人と人の接点が連鎖していくような場でした。

セッションで感じた、「使う側」と「作る側」の距離

ここまでは、キーノート、ブース、ドリンクアップと、RubyKaigi で出会った具体的な場面を振り返ってきました。ここからは、全体を通じて自分が感じた「使う側」と「作る側」のコミュニティの距離について、3つの観点で振り返ってみたいと思います。

知識の壁としての距離

キーノートに限らず、セッション全体を通して感じたのは、率直に言って「難しい」という戸惑いです。

RubyKaigi で語られる内容の多くは、Ruby そのものを動かす仕組み、つまり Ruby 本体に組み込まれた C 言語の実装にまつわるものです。例えば Ruby の最新の話題である @tagomoris さんの「The Journey of Box Building」も、@k0kubun さんの「Lightning-Fast Method Calls with Ruby 4.1 ZJIT」も、深く踏み込めば C 言語のレイヤーの話になります。
普段の業務では Rails の上で Ruby を書いている自分には、 Ruby 内部の話はすぐには腑に落ちませんでした。もちろん事前のキャッチアップの時点で内容が難しいことはわかっていましたが、やはり Ruby に関する基本的な知識の不足を実感しました。

さらに、発表の多くは英語で行われます。Ruby の話を聞き取って理解するには、Ruby の知識と英語力の両方が必要です。スライドの図を見ながら、断片的に聞き取れる単語を繋いでなんとか理解しようとする時間が何度もありました。正直なところ、理解が追いつかない部分も多かったので、後日改めて発表を見返そうと思っています。

ただ、聴いていて分からないことが多いほど、不思議とその内容に興味が湧いてきました。どこの何の話をしていて、その仕組みはどうなっているのか。もっと知りたい、理解したいという気持ちがどんどん強くなりました。難しさは確かに壁なのですが、同時に、自分にとって遠い場所にあったはずの「Ruby を作る側」の世界の存在を、改めて認識させてくれるものでもありました。

コミュニティの実体としての距離

3日目の朝には、Ruby コミッタの方々が壇上に集い Ruby についてオープンに議論を交わす「Ruby Committers and the World」というセッションがありました。コミッタの方々を実際に目の当たりにするのは今回が初めての経験です。また、セッションの時間以外にも、会場には常に多くの Rubyist の方々がいました。発表の合間にロビーで立ち話をしているグループだったり、ブースを巡って各社のエンジニアと話をしている方、お昼休みにわいわいと談笑している方々など、Rubyist が集まって時間を共有している場面が至るところにありました。

その中には、スピーカーとして発表されている方々はもちろん、自分たちが普段の業務で使っている Ruby や gem を作っているメンテナやコントリビュータの方々も含まれていたことと思います。自分は直接お話しすることはありませんでしたが、弊社メンバーの中には自身がコントリビュートする gem の作者の方とコミュニケーションを取っている先輩もいました。「使う側」と「作る側」が、こうして同じ会場で物理的に近い距離にいるという、RubyKaigi の魅力を強く感じた瞬間でした。

自分にとって Ruby や gem、もっと言えば OSS は「インターネットの向こうにある何か」で、その作り手に対する明確な意識や関心は薄かったように思います。誰かが作っているのは知っていますが、その「誰か」は具体的な誰でもなく、ただ抽象的な存在として頭の片隅にいるだけでした。それが、「あそこにいる方が Ruby を作っている」「あの方があの gem 作っている」という場面に何度も出くわすうちに、自分の中で OSS という言葉の輪郭がはっきりと意識できるようになったと感じています。
OSS は、ネット上のどこかにあるものではなく、こうして実際に集まって時間を共有している人たちの営みなのだと、3日間かけて少しずつ実感していきました。

自分の中で縮める距離

期間中、会場の書籍販売コーナーで「CRuby Quest Rubyのぼうけんのしょ」と「Ruby で作って学ぶ正規表現エンジン」の2冊を購入しました。今回受け取った「作る側」の世界の手触りを、もう少し自分の手の届く範囲に置いておきたかったからです。

帰宅後、実際に手を動かしながら読み進めています。RubyVM を構成する要素や、VM が自分の書いた Ruby コードを処理する流れが段々と見え始めています。また、正規表現エンジンの仕組みは VM と共通するところも多く、まるで小さな VM のようでもありました。

次の RubyKaigi までに、Ruby 内部の知識と、最低限の英語を聞き取れる力を、もう少し自分に積み上げておきたいと、準備を進めています。RubyKaigi で刺激され、高まった Ruby に対する好奇心を満たしたいというモチベーションが、自分の中で具体的な宿題の形を持ち始めています。

初参加の方に向けて

ここまで自分の体験を中心に書いてきましたが、最後に、これから RubyKaigi に初めて参加してみようかなと考えている方に向けて、初参加として駆け出しで過ごしてみて感じた実用的なことを少し残しておこうと思います。

スタンプラリーは早めに回る

スポンサー企業のブースを巡る公式のスタンプラリー企画があります。一定数のスタンプを集めると景品の RubyKaigi オリジナルピンバッジがもらえます。ただし景品には数の限りがあり、今回は3日目のお昼には景品が切れてしまっていました。

これは小話ですが、RubyKaigi のデザインを担当される企業は、毎回異なると聞いています。つまり、その回で気に入ったデザインのピンバッジは、その期間中しか手に入れるチャンスはないということです。気になっている方は、2日目のうちに回り切ることをおすすめします。

オフィシャルパーティ・ドリンクアップは申し込みが早い者勝ち

期間中、公式のオフィシャルパーティの他にも、スポンサー各社が主催するドリンクアップが開催されます。オフィシャルパーティや各社の募集はおおよそ RubyKaigi の2週間ほど前から公式サイト・connpass などで開始されますが、オフィシャルパーティ、また人気のあるドリンクアップほど枠がすぐに埋まります。
ドリンクアップでは初参加者向けの枠を用意しているものもあるので、見かけたら応募してみるとよいでしょう。

ちなみに、どこのドリンクアップでも RubyKaigi の話題で盛り上がります。初参加だと「どのドリンクアップが自分に合うんだろう」と迷うかもしれませんが、会期中 RubyKaigi に参加した人たちが集まる場なので、どこに行っても心配はいりません。迷ったら、まずは1つ応募してみるのがおすすめです。

初心者こそ参加すべき

もう1つ伝えたいのは、知らないことや分からないことが多くても、それを恐れる必要はないということです。むしろ自分の場合は、分からないことが多いほど、その先に広がっている世界への興味が強くなりました。
知らないことは、楽しむための入り口になります。来年の RubyKaigi で、ぜひ自分なりの「分からない」と出会ってきてください。

最後に:自分にとっての Multiverse Ruby

初日のキーノートで @tagomoris さんが投げかけた、「みなさんにとっての Multiverse Ruby をぜひ探してみてほしい」という締めの言葉が、3日間ずっと頭の片隅に残っていました。

自分にとっての答えは、まだはっきりとは見えていません。ただ、方向性だけは少しずつ見え始めている気がします。Ruby を「使う側」の自分が、少しずつ「作る側」の世界に近づいていくこと。RubyVM の仕組みを学び、まずは自分が業務で書いているコードの裏側で何が起こっているのかを理解できるようになること。それが、今の駆け出しの自分にとっての Multiverse Ruby なのかもしれない、と思っています。

来年の RubyKaigi 2027 は宮崎での開催です。今年の自分が会場で見かけた「作る側」の方々や、日々 Ruby に向き合う Rubyist のみなさまと、次回は少しでも近い距離で話せるようになっていたいと思います。今回受け取った宿題に向き合いながら、来年の宮崎までの1年を過ごしていきたいと静かに燃えています。

RubyKaigi 2026 を支えてくださった運営スタッフのみなさま、現地で交流させていただいた全てのみなさまに、心から感謝いたします。ギフティはこれからも、Ruby コミュニティの一員として、自分たちにできる形でコミュニティの盛り上がりに関わっていきたいと考えています。また会場でお会いできることを楽しみにしています。

ギフティでは、「自分にとっての Multiverse Ruby」を探しながら Ruby と向き合っていきたいエンジニアを募集中です。

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RubyKaigi 2026 参加者のみなさまへ感謝を込めて