こんにちは。Beast Cup Tokyoでは2連敗で速攻終了したCTOの 柳瀬 です。
以前より弊社ではSREの募集をしていたのですが、今回改めてそのミッションを整理すると共に、立ち上げに注力したいと考えています。それにより実現したいのは一言で言うと、下記の図のように、「各開発チームが可用性の担保も含めて独力でやる必要がある状態を、SREチームに任せる・相談する選択肢がある状態 にする」です。
以降、背景も含め少し詳細に説明します。
現在の開発組織における役割分担
弊社の主力事業はeギフトの発券から流通・販売まで一気通貫で提供する「eギフトプラットフォーム事業」です。このプラットフォームは分解すると多数のプロダクトで構成されており、現在本番稼働するプロダクトが動いているAWSアカウント数は80アカウント程度に上ります。にも関わらず、実は弊社にはインフラに注力をしてミッションを持っているエンジニアは居ません。事業領域に応じて形成されるチームに所属しているエンジニアが、フルスタックにインフラ領域まで含めて対応をしているのが現状です。
課題感
現在の体制はプロダクト立ち上げにチーム間調整が発生せず、単独のチームの都合で推進できる、といったメリットがある一方、各チームのエンジニアにインフラ領域の技術まで求める事になります。そういった機会を望んでいる方にとってはいい話なのですが、必ずしも全てのエンジニアがそうである必要は無いと考えていますし、プロダクト数の増大に伴い、インフラの知見が集約されてない事によって発生する非効率も大きくなってきました。
例えばプロダクト構築時に守るべき全社ガイドラインを定め、その中で一定のインフラ要件を明文化するなど、非機能要件の整理をスムーズにする、といった取り組みは実施しています。しかしながら、具体的なインフラ領域のWhatとHowに向き合ってエンジニアリングをする部隊が居ないため、そういった知見が深まりにくい状況になってしまっていること、仕組みを共通化することによって本来得られるメリットが享受できない、といった課題感がプロダクト群の成長に伴い年々大きくなってきています。
今回のSRE組織の再定義の背景となる課題感はこういった部分になります。
SRE組織への期待
上記のプロダクト群の成長は、質と量の両側面に関して発生しています。事業としてeギフトの流通量が増大しているだけでなく、eギフトを活用する用途も広がり続けているからです。そのため、 - トランザクションが増加し年々影響度が増していくプロダクトの信頼性をビジネス側と協働して高めていく - 新規プロダクト立ち上げ時に少ない手間で必要な信頼性を供給できる仕組みを提供する
といった観点でのエンジニアリングができる組織が必要と考え、今回SRE組織を改めて立ち上げに行き、向こう数年で3〜5名程度のチームにしていきたいと考えています。
具体的に初手どのように登っていくべきか、という部分に関していえば、開発チーム内でSREチームに可用性の担保を任せたいチームに対して所謂「プラットフォームチーム」として協働していくところから始めていくのがいいのではないかと思っています。特にそれが新規立ち上げプロダクトであれば、新生のSREチームが入るハードルが低く、うまく行きやすいのではないかと思っています。そこで得られた知見を抽象化し、より横断的に価値提供できる基盤作りに昇華していくイメージです。
その上で、将来的には引き続き自チームでインフラ領域をコントロールしたい / する必要があるチームに対して、所謂「イネーブリングチーム」として関わる機能を持てるとより理想的ではないか、というのが現在の青写真です。
ただこの辺は、実際に入っていただいた方と議論を深めながら具体の上り方を詰めていければと思っています。尚、立ち上がりをサポートするため、最初は現在存在する横断開発組織であるPlatform Unit内にSREチームを立ち上げる予定です。これにより、開発組織横断で俯瞰的視点から最適なやり方を議論しつつ進められるのではと思っています。Platform Unitは僕が直接管掌しているため、僕自身も一緒に議論させて頂きながら進められればと考えています。
併せて、立ち上げ期には現存の各チームに留学期間のようなものを置き、各チームの事情に関して解像度高く理解して頂くと共に必要な人間関係を構築する助けになればと考えています。
とはいえ
SREとして経験を既に積まれている方にとって、このポジションは基盤そのものやチーム立ち上げに関われるという意味でチャレンジングな機会提供ができる場だと考えています。しかしながら「SRE」というロールが広く認知されてからの歴史はそう長くないこともあり、蓋然性高くこの記事に挙げた課題を解決できる方がかなり希少であることも理解しています。
また立ち上げという状況を鑑みると、SREとしてのご経験より、オーナーシップを発揮し、こういった技術組織改善に対して強い意思を持って頂けることが大切なポジションではないかと考えています。ですので、SREロールのご経験が無い方であっても、そういったチャレンジに少しでも興味のある方は是非カジュアル面談の形からお話させて貰えれると嬉しいなと思っています。