こんにちは、エンジニアの toki です。個人向けの eGift サービスの開発をしています。ギフティでは今のところインフラのお仕事が多いですが、フロントエンドエンジニアを自称しています。
先日このブログでギフティのエンジニア採用フローについての記事を HR の chrhirano さんが書いてくれました。
この記事にある通り、ギフティではライブコーディングをする技術面接をはじめ、エンジニアが採用にかかわるシーンが結構あります。主にやることは面接官としてのお仕事ですね。どんなエンジニアと一緒に働きたいかはエンジニアが一番よくわかるよねということで、みんなでやりくりしながらやっています。
ただ、面接というのはめちゃくちゃ奥が深くて、どないしたらええねんといつも四苦八苦しています。
今回はそんな中で私が色々試行錯誤してきた「非人事職であるエンジニアが採用面接で面接官をするときに、どういった立ち回りを意識しているか」についてお話しします。一般論ではなく、独断と偏見に満ちた一個人の主観ですが、なにかの参考になれば幸いです。
私について
新卒でメーカーに研究職として採用され、その後転職してソフトウェアエンジニアになっています。なので人事職に就いたことはありません。
技術職の立場から新卒採用のリクルーターをやったり、面接官をやったりしてきました。
面接経験でいうと、新卒 / 中途 / 業務委託などもろもろ合わせると 60 回以上はやったと思います。自身の合否がそのまま採用 / 不採用になるような立場での面接も経験してきました。
これからお話しするのはそれぐらいの立ち位置の人間なんだということを頭に入れてもらっていると、より誤解なく伝わるかなと思います。
面接で意識していること
1. 面接官は試験官じゃない
面接において、面接官の仕事は2つあると思っています。
- 1: 候補者が「いい人」であるかどうかを見極めること
- 2: 候補者が「いい人」であった場合、自分の会社に入りたいと思ってもらうこと
ちなみにここで言う「いい人」は、あなたが一緒に働きたい、この人にオファーを出したいと思うような人をイメージしてください。それはすごく優れたスキルや経験の持ち主かもしれませんし、会社のカルチャーにすごくフィットした人かもしれません。
「面接」という言葉を聞くとどうしても1のイメージが強いですが、「いい人」を採用するためには2は欠かせません。
極端なことを言えば、技術面接のような課題型の面接の中で1の見極めができたなら、その時点で課題を中断して残り時間は会社の魅力を伝える、に振り切ってもいいはずです。これはとても難しい立ち回りですが、それぐらい大事なことだと思っています。
2. 採用の世界にも競合がいる
会社の魅力を伝える...、これは「アトラクト」と呼ばれたりしますが、なぜアトラクトが必要なのか?それは当然ですが 「いい人」であればあるほど引く手数多なはずだからです。
そんなこと当たり前だろ、と思われると思います。ただ、「どれくらいの温度感なのか?」ということを考えたことはあるでしょうか?
これは会社の規模や抱えている事情によって全然違うはずです。例えばギフティでは今年の4月に9名の新卒の方を迎えましたが、日本を代表する企業さんだともっと多くの新卒の方が入社されるでしょう。
人材不足が叫ばれる IT 業界において、採用は候補者の方と採用企業との一騎打ちではなく、企業が入り乱れた合戦です。
戦いにおいて、彼我の戦力差を知ることは非常に重要です。
例えばギフティの会社としての立ち位置を確認してみると、2024/06/07 時点で時価総額は約 320 億円です。これは日本国内の上場企業約 3,900 社中 約 1,500 位 です。上位 38% というところですね。
おかげさまで昔に比べると少しずつ知っていただいている方も増えてきていると感じているギフティですが、相対的な企業規模としてはまだまだ小さいことがわかります。
もちろん企業の規模で採用のすべてが決まるわけではありません。ですが企業の規模は求人において様々な面で影響します。給与、福利厚生、etc ...。
こういった前提知識を持っていると、面接での立ち回りは変わってくるんじゃないかと思います。
3. 採用したいのは何人に1人?
ここまではアトラクトの側面にフォーカスしてお話ししてきましたが、その一方で全員を採用するわけにもいかないでしょう。会社に合わない方を無理に採用しても、すぐ辞めてしまうようなことになってしまってはお互い不幸です。
一方で「いい人」を採用しよう、というのはかなり抽象的な言い方です。なのでここでも温度感について考えてみましょう。
「いい人」の温度感について考える良い指標として、例えば以下のようなことを考えるといいでしょう。
- 会社 / 組織の従業員数推移
- 会社 / 組織の採用目標数
例えばギフティで考えてみると、まず従業員数推移については、ギフティのコーポーレートサイト IR ライブラリにて公開されている、2023年12月期 通期決算説明資料を見ると、2023年でギフティ単体: +43名、エンジニア: +6名となっています。
採用目標については、同じく決算資料を見ると今年はギフティ単体で +50名を目指すと記載があります。エンジニアについては記載がありませんが、おおよそ同じ比率で見積もると +7 ~ 10 名程度の着地を目標にしていそうだと予測できます。
ギフティには 2024/06 現在 10 程度のエンジニアチームがあるので、仮に全チームのエンジニアが均等に面接官を担当すると、各チームの面接官は1年に1人採用するかしないかぐらいの温度感になります。
これによって「いい人」=「1年面接して1人会えるかどうかというレベル感の人」という基準ができます。「いい人」の解像度が上がることによって、より合否の判断がしやすくなるのではないでしょうか。
4. 情熱を探す
ここからは具体的な面接での立ち回りについて意識していることになります。この立ち回りは面接官の仕事1: 候補者が「いい人」であるかどうかを見極める のための一手段です。
私は「いい人」の1つの基準として、「なにかに情熱的であること」を指標にしています。情熱の対象は技術でもいいですし、ビジネスでもいいんですが、面接の中でなにかしら見つけたいところです。
否定的な情熱もいいでしょう。たとえば「自分は Mac 派で、Windows は許せない」とかです。
なにかに対して情熱的ということは、それだけのエネルギーを持っていることの表れだと思っています。それが仕事に結びついているとなおよいです。何に情熱を持っているのか詳しく聞いてみましょう。情熱を探し当てられた回は、結果として話が盛り上がることが多いので、それを指標にしてもいいかもしれません。
個人としては、情熱を探すために堅苦しくない、いい意味で面接っぽくない雰囲気を作ろうと思って面接に臨んでいます。そのほうが候補者の方にとっても会社に対して良い印象を持ってもらえることが多いんじゃないでしょうか。
また、「情熱を探す」を目標にすると、候補者に対して聞き上手にならなければいけません。これは結果としていい立ち回りになりやすいと思っています。
5. 会社 / 組織を代表して話す
この立ち回りは面接官の仕事2: 候補者が「いい人」であった場合、この会社に入りたいと思ってもらう ための一手段です。
面接官側からは意識しづらいのですが、候補者から見たときの面接官は文字通り「会社の代表」のように見えています。なにせ採用選考で会う社員の数は限られます。中途採用であればなおさらです。
例えばギフティの中途採用選考フローでは、現場のエンジニアが面接官を担当するのは多くの場合、2次の技術面接のみです。ということはこの場合、候補者から見ると技術面接で会うエンジニア2人が「ギフティのエンジニアのすべて」という風に見えてしまってもおかしくありません。なので面接官としてはそういう視点で質問に答えてあげると、候補者も会社や組織のイメージが湧きやすいと思います。個人としてはこう、会社としてはこう、という具合にですね。
とはいえ「嘘を言ってしまうかもしれない」という不安はあると思います。そういうときは 「自分からは会社はこう見えている」 という風に考えるといいです。
実際、候補者もエンジニアだった場合は「人事から見た会社」「社長から見た会社」よりも 「自分と同じエンジニアから見た会社」 が一番知りたいのではないかと思います。なので「自分から見ると...」と前置きしたうえで、率直な自分の思いを答えちゃいましょう。所属する社員の方から語られる会社の姿は間違いなくその会社の1つの側面を表していますし、その方が候補者の方にも伝わるのではないかと思います。
一方でそういったことを難しく感じる方がいれば、会社の資料などを見返してみたりして考える機会を作ってみてもいいかもしれません。個人的なおすすめは決算の説明資料や全社会議などの資料です。こういった資料は「会社全体としてどういう方向に行こうとしているのか」「何を大事にするのか」といった指針となるものが表現されています。
おわりに
今回は「非人事職であるエンジニアが採用面接で面接官をするときに、どういった立ち回りをすべきか」といった内容でお話をしました。面接というと「採用・不採用」といった試験的な印象が強くなりがちですが、本来はもっと感情的な側面が大きいものです。
私もこれまで多くの面接を経験する中で多くの学びを得ましたが、それらはエンジニアの本業である開発業務にも大きく活かされています。エンジニアリングも組織としてやっていく以上、多くの人とチームを組んでやっていくことになりますが、そこではすべてがロジックで決まっているわけではありません。特にギフティは「ギフト」を扱うプロダクトを作っていますので、情緒的な価値観に基づいた意思決定は非常に重要です。
そのために「人間を知る」ではないですが、限られた時間の中でお互いを知り、よい印象を持ってもらうという経験をするのに面接という場はとても有意義な空間です。
昨今ではエンジニアが面接をする企業さんも多くなっている印象がありますが、そうした中で「どうすれば...」とお困りの方がもしいれば、話半分で参考にしてもらえるといいんじゃないかなと思います。
ギフティでは情熱を持つ人を募集しています。ぜひカジュアル面談でお話ししましょう!